初めての妊娠・出産の方は、出産が近づいてくると「陣痛の間隔はどのくらいなのだろう」「いつ病院に行けばいいの?」などの不安を感じていると思います。
このコラムでは、陣痛の間隔の基本的な知識から前駆陣痛と本陣痛の見分け方、分娩の進み方まで詳しくご説明します。
陣痛について正しく理解することで、少しでも不安を解消してお産に臨んでいただけたらなと思います。
陣痛の間隔はどのくらい?
陣痛とは、赤ちゃんを外に送り出すために子宮が収縮するときに感じる痛みのことです。
お産が自然に進むために欠かせない現象で、痛みのある時間を「発作」、痛みが治まっている休息時間を「間欠」と呼びます。
この発作と間欠が一定のリズムで繰り返されることで分娩が進行します。
陣痛間隔とは
陣痛間隔とは、前回の発作が始まった時刻から次の発作が始まるまでの時間を指します。
多くの方が「痛みが終わってから次の痛みまで」と考えがちですが、正しくは「発作開始から次の発作開始まで」です。
最初は15〜20分おきに始まり、進行とともに10分、8分、5分と短くなり、最終的には2〜3分間隔まで詰まっていきます。
その頃には子宮口が全開に近づいています。
陣痛の持続時間(陣痛時間)
一度の陣痛(痛み)が続く時間を「陣痛時間」と呼びます。
陣痛時間は、初期は20〜30秒程度ですが、徐々に40〜60秒、赤ちゃんが生まれる頃は90秒ほどになります。
前駆陣痛と本陣痛の違い
妊娠後期に起こる「前駆陣痛」は陣痛のようなお腹の張りや痛みを伴うため、本陣痛と見分けがつきにくいものです。
しかし、この2つの違いを理解しておくことは、出産の兆候を正しく見極め、病院へ行くタイミングを逃さないために大切です。
両者には「痛みの規則性」と「強まり方」に大きな違いがあります。
前駆陣痛の特徴
前駆陣痛は「子宮が出産の準備を始めているサイン」で、本格的な分娩には直結しません。
特に初産婦の方は、前駆陣痛が数日間続いたあとに、本陣痛へ移行するケースもよく見られます。
以下のような痛みは前駆陣痛と考えて良いでしょう。
- 起こる間隔にばらつきがある(15〜30分おきなど)
- 痛みの強さにもばらつきがあり、20〜30秒程度でおさまる
- 痛みの強さが増していかない
- 体を動かしたりリラックスしたりすると軽くなる
- 夜中に痛みがあっても、翌朝には治まっている
本陣痛の特徴
本陣痛は「赤ちゃんが生まれるための本格的なサイン」であり、分娩へ直結する子宮収縮です。
時間の経過とともに痛みが強くなり、休んでも治まらないのが特徴です。
次のような症状が見られる場合は、本陣痛が始まったと考えられます。
- 規則正しい間隔で繰り返され、時間が経つごとに短くなっていく
- 陣痛の持続時間が徐々に長くなる
- 休息や気分転換では止まらず、時間とともに痛みが強まる
陣痛が規則的に10分間隔、または1時間に6回以上起こるようになると、(本)陣痛開始と判断できます。
このタイミングで病院に連絡を入れましょう。
おしるしと破水について
分娩が近づいたサインとなる、「おしるし」と「破水」についても知っておきましょう。
おしるしは、子宮口が開き始める際に少量の出血が起こる現象。
おりものに血が混ざる形で現れるのが一般的です。
おしるしがあってもすぐに陣痛につながらないこともよくあります。
普段通りに過ごしましょう。
破水は、赤ちゃんを包む羊膜が破れて羊水が外に出ること。
一度に大量に出る場合もあれば、少しずつ漏れる場合もあります。
破水や多量の出血がある場合は、陣痛の有無に関係なく病院へ連絡してください。
分娩の進み方と陣痛の間隔

分娩は大きく 第1期〜第3期 に分けられ、それぞれで陣痛の間隔や強さが変化していきます。
分娩第1期(開口期)
子宮口が全開(10cm)になるまでの期間で、初産婦は12時間〜24時間以上、経産婦は7時間〜24時間程度かかるケースが多いです。
さらに分娩第1期の中でも、以下のように進んでいきます。
- 準備期(子宮口0〜3cm):陣痛は8〜10分間隔、20〜30秒程度
- 進行期(子宮口4〜7cm):陣痛は4〜7分間隔、30〜40秒程度
- 極期(子宮口8〜10cm):陣痛は2〜3分間隔、40〜60秒程度
準備期は軽い痛みで日常生活を送れるケースも多いですが、極期になると痛みが最も強くなり、いきみたい感覚が出てきます。
陣痛の痛みに不安がある方は、こちらのコラムも参考になります!
あわせてご覧ください。
無痛分娩の痛みはどのくらい?普通分娩(自然分娩)の痛みも軽減できる!
分娩第2期(娩出期)
子宮口が全開になってから赤ちゃんが誕生するまでの期間です。
初産婦では1〜6、7時間、経産婦は30分〜2時間程度が一般的。
陣痛は1〜3分ごとに起こります。
強い陣痛とともに「いきみたい」という感覚が現れ、医師や助産師の指示に従っていきむことで出産が進みます。
分娩第3期(後産期)
赤ちゃん誕生から胎盤が出るまでの時期で、5分~1時間程度です。
この間の陣痛は比較的軽く、胎盤の排出を助ける役割を果たします。
出産準備や分娩の流れをさらに詳しく知りたい方は、「出産の流れを完全ガイド!陣痛から赤ちゃん誕生までの全ステップ」もご覧ください。
入院のタイミングから産後の過ごし方まで詳しく解説しています。
陣痛間隔を正しく理解してお産の準備を進めよう
陣痛の間隔は出産が近づいているサインであり、赤ちゃんとの対面への大切なステップです。
前駆陣痛と本陣痛の違いを理解し、適切なタイミングで医療機関に連絡することで、焦らずお産を迎えることができます。
陣痛の間隔が10分以内で規則的になったら本陣痛の始まりと考え、病院への連絡を検討しましょう。
ただし、破水や大量の出血がある場合は、陣痛の間隔に関係なく速やかに連絡してください。
初産婦と経産婦では分娩の進行スピードが異なるため、それぞれの特徴を理解して状況に応じた対応をすることが大切です。
不安や疑問がある場合は、遠慮せずに医師や助産師に相談してくださいね。
「Sola Clinic」は横浜市都筑区にある女性医師による産婦人科クリニックです。
当クリニックは、お母さんが持っている力を引き出す自然なお産(Joyful birth)をサポートしています。
スタッフも全員女性ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
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