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妊娠中の食事はいつから気をつける?取り入れたい・避けたい食べ物も

日本食

妊娠がわかると、「食事に気をつけなきゃ」と思う方は多いのではないでしょうか。

 

今回は、食事に気をつけ始める時期や、妊娠中に意識したい栄養素、避けたほうが良い食べ物について解説します。

ご自分と赤ちゃんの健やかな日々のためにもぜひご覧ください。

 

 

妊娠中の食事はいつから気をつける?

妊娠中、おなかの赤ちゃんは胎盤を通してお母さんから栄養や酸素をもらいます。

胎盤が完成するのは妊娠5カ月頃(妊娠16週前後)で、それまで赤ちゃんは「卵黄嚢(らんおうのう)」という器官から栄養を補っています。

つまり、特に妊娠5カ月頃からは食事に注意が必要になってきます。

 

ただし、一部の食べ物には妊娠のごく早い時期から気をつけたいものもあるため、妊娠が判明したタイミングで少しずつ食習慣を整えていきましょう。

 

なお、妊娠初期はつわりで思うように食事ができない方も少なくありません。

前述の通り、胎盤が完成するまでは赤ちゃんは皆さんの食事から直接栄養を得ているわけではないため、無理して食べなくても大丈夫。

つわりがひどい時期は、食べられるものを少しずつ食べ、こまめな水分補給を心がけましょう。

 

つわりの症状や軽減方法について詳しく知りたい方は、「つわりはいつからいつまで?症状と軽減方法を産婦人科医が解説」もご覧ください。

 

 

妊娠中の食事に取り入れたい食べ物

妊娠中は、ご自身と赤ちゃんの健康のために積極的に取りたい栄養素があります。

代表的なものをその理由や食材例とともに紹介します。

 

葉酸を含む食べ物

妊娠初期に特に大切なのが葉酸です。

細胞分裂に欠かせない栄養素で、赤ちゃんの神経管閉鎖障害(先天異常)のリスクを減らす働きがあります。

妊娠前からの摂取が理想的ですが、妊娠がわかってからでも遅くはありません。

 

成人女性の葉酸の推奨摂取量は1日240µg、妊婦は約2倍の480µgが目安です。

 

【多く含む食材】

  • ほうれん草
  • ブロッコリー
  • 小松菜
  • モロヘイヤ
  • 納豆
  • 焼き海苔 など

 

特にブロッコリーの含有率は高いです。

つわりで食事が取れないときは、サプリメントで補っても構いませんが、食材から摂取する方が吸収率は高いです。

 

鉄分を含む食べ物

妊娠中は貧血になりやすく、産後も貧血が続くことがあります。

鉄分を多く含む食品を意識して摂るようにしましょう。

 

鉄は、ビタミンCと一緒に摂取すると効率良く吸収されます。

特に植物性の鉄分(非ヘム鉄)は、ビタミンCを多く含む食材と組み合わせるのがおすすめ。

 

鉄分の推奨摂取量は、妊娠初期で1日9.0mg、妊娠中期〜後期で16mgです。

 

【多く含む食材】

  • あさり
  • まぐろ
  • かつお
  • 納豆
  • 小松菜
  • ほうれん草
  • 切り干し大根など乾物類
  • 赤身肉 など

 

また、葉酸やビタミンB12にも貧血を防ぐ作用があるため、それらもバランスよく摂りましょう。

 

カルシウムを含む食べ物

赤ちゃんの骨や歯を作るのに欠かせないカルシウム。

カルシウムを十分に摂取できていない場合、赤ちゃんは母体の骨からカルシウムを取り出して成長します。

その結果、母体は骨粗しょう症のリスクが高まる恐れがあります。

 

カルシウムの推奨摂取量は1日650mg。

カルシウム不足はイライラやこむら返りの原因にもなります。

 

【多く含む食材】

  • 木綿豆腐
  • 豆乳
  • めざし
  • しらす
  • ちりめん
  • 真アジ
  • 小松菜
  • 水菜
  • 乾物類など

 

食物繊維や乳酸菌を含む食べ物

牛乳はカルシウムが多いですが、加熱したり消毒の過程でカルシウムを失います。

乾物類は太陽の光を吸収してビタミンDやカルシウムが豊富です。

 

妊娠中はホルモンの影響や子宮による腸の圧迫で便秘になりがちです。

食物繊維や乳酸菌(お味噌や甘酒、お漬物)を取り入れることで、便通を促し腸内環境を整える効果が期待できます。

 

【食物繊維を多く含む食材】

  • 押し麦
  • 雑穀
  • ライ麦パン
  • おから
  • そらまめ
  • 干ししいたけ
  • きくらげ など

 

【乳酸菌を含む食品】

  • お味噌
  • 漬物
  • 納豆 など

 

 

妊娠中の食事で避けたい食べ物

普段何気なく食べているものの中には、妊娠中は避けたほうが良い食品もあります。

 

アルコール

妊娠中の飲酒は避けましょう。

アルコールは胎盤を通して赤ちゃんに届き、胎児性アルコール症候群や発達遅延、中枢神経障害などを引き起こす恐れがあります。

 

また、妊娠初期(2週目まで)に過度な飲酒をすると、自然流産のリスクが上がるという報告もあります。

「ここまでの飲酒量なら問題ない」という基準もわかっていないため、妊娠が判明した時点で禁酒し、授乳が終わるまで控えましょう。

 

リステリア菌を含む可能性のある食べ物

リステリア菌は食中毒を引き起こす細菌の一種で、非加熱の乳製品や加工肉から検出されることがあります。

 

リステリア菌による食中毒は健康な成人では軽症で済むことが多いですが、妊婦は感染しやすく、胎児にも影響がおよぶ恐れがあります。

非加熱のナチュラルチーズ、スモークサーモン、生ハムなどは避けましょう。

 

トキソプラズマを含む可能性のある食べ物

トキソプラズマは生肉などに潜む寄生虫です。

感染すると胎盤を通して赤ちゃんにも感染し、先天性トキソプラズマ症を引き起こす可能性があります。

 

生ユッケやレアステーキ、生ハム、サラミなどは避け、必ず加熱して食べましょう。

 

食中毒を起こしやすい食べ物

妊娠中は服用できる薬が限られるため、食中毒には要注意です。

ノロウイルス(牡蠣など二枚貝)、サルモネラ菌(生の鶏肉や卵の殻)などの感染源となる生食品は避けましょう。

 

 

妊娠中の食事で量に気をつけたい食べ物

サラダを食べる女性

完全に避ける必要はありませんが、摂取量を意識したい食品もあります。

 

カフェインを含む飲み物

カフェインの過剰摂取は自然流産や胎児発育遅延のリスクを高める可能性があります。

WHOでは、妊婦の1日のカフェイン摂取量を300mg以内(コーヒー約2杯分)に制限するよう推奨しています。

 

日常的に飲む習慣がある方は、2杯までにしましょう。

 

水銀を含む魚

大型魚には有害なメチル水銀が多く含まれる場合があります。

母体が過剰に摂取すると、胎児の中枢神経発達に影響を与える恐れがあります。

 

キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロは1回80gを週1回まで、キダイ、マカジキは週2回までが目安といわれています。

 

ヨウ素を含む食べ物

ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料として必要ですが、摂りすぎると赤ちゃんの甲状腺機能に影響します。

昆布やわかめなどの海藻類に多く含まれますが、食事の範囲であれば過剰摂取の心配は少ないでしょう。

 

推奨量は1日240µg、上限は2,000µgです。

 

ヒ素を含む食べ物

無機ヒ素は過剰摂取すると健康被害を及ぼします。

ひじきには無機ヒ素が含まれていますが、水戻しや加熱で多くが流出します。

戻し汁や煮汁を捨てれば問題ありません。

 

食べる場合は乾燥ひじき5g(小鉢1杯程度)を週2回までを目安にしましょう。

 

ビタミンAを含む食べ物

ビタミンAは妊娠初期に過剰摂取すると胎児の形態異常を引き起こす可能性があるといわれています。

ただし、野菜などの植物性ビタミンA(βカロテン)は問題ありません。

 

動物性ビタミンAの摂りすぎに注意し、レバーは週30g(串焼き1本)、うなぎは週1回を目安に。

推奨量は1日650〜700µgです。

 

 

妊娠がわかった時点で食事の見直しを! 避けるべき食材も知っておこう

赤ちゃんが母体からしっかり栄養をもらうようになるのは妊娠5カ月頃からといわれています。

そのため、妊娠中の食事に特に気をつけ始めたいのは、妊娠初期のつわりも収まる妊娠5カ月目頃。

 

妊娠が判明した時点で少しずつ食生活を整えていきましょう。

 

妊娠中は葉酸や鉄分、カルシウムなどの摂取を意識し、一方で、アルコールやリステリア菌を含む食品などは避けましょう。

また、カフェインやビタミンA、水銀やヨウ素などの摂取量にも注意したいところです。

 

全て過剰摂取が問題です。

食べてはいけない、食べなくてはいけないと過剰に我慢せず、頑張らず、食べたいものをおいしくいただくことがいちばん大切です。

妊娠を機に惰性で食べていないかな?本当に求めて食べているのかな?からだの声を意識しながら楽しく、おいしく食事の時間を整えましょう。

 

Sola Clinic」は横浜市都筑区にある女性医師による産婦人科クリニックです。

当クリニックは、お母さんが持っている力を引き出す自然なお産(Joyful birth)をサポートしています。

スタッフも全員女性ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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この記事の監修
Sola Clinic院長 渥美 陽子
渥美 陽子
Sola Clinic院長
あなたと家族の”みらい”に向けて、明るい笑顔と真心、そして安心の医療体制で、安らぎと感動を提供いたします。産科、婦人科にかかわる心配事は、程度にかかわらず何でも「Sola Clinic」までご相談にいらしてください。