
妊娠がわかったばかりの方や、体調の変化を感じ始めた方の中には、「つわりはいつから始まるの?」「どのくらい続くの?」と不安に思う方も多いでしょう。
今回のコラムでは、つわりの基礎知識や症状が出始める時期、そして少しでも楽になるための工夫などについて、詳しく解説します。
つわりに関する疑問や不安を解消し、安心して妊娠生活を過ごすための参考になれば幸いです。
つわり(悪阻)とは?
つわりとは、妊娠に伴い吐き気・嘔吐・食欲不振などが現れる消化器系の不快症状の総称です。
妊婦さんの約8割が経験するといわれており、症状の程度や種類は人によって大きく異なります。
つわりの原因は完全には解明されていませんが、妊娠による急激な体内環境の変化が影響していると考えられています。
特に、着床後に分泌される hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン) というホルモンが関与しているとされています。
つわりはいつからいつまで続く?
つわりの期間は個人差も大きいですが、一般的には妊娠5週目頃から始まり、12~16週頃まで続くケースが多いです。
つわりが始まる時期
つわりは多くの場合、妊娠5週目頃から始まり、妊娠検査薬で陽性反応が出る時期とほぼ重なります。
早い方では4週目頃から「胃のムカつき」や「軽い吐き気」を感じることもあります。
妊娠検査薬で陽性反応が出た方は、適切なタイミングでの病院受診も大切です。
詳しくは「妊娠検査薬で陽性反応が出たら?病院受診のタイミングと注意点」のコラムでご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
つわりのピーク時期
症状が最も強く出るのは妊娠8〜10週頃で、この時期は吐き気がひどくなったり、嘔吐してしまったりしやすいです。
一般的には10週を過ぎると徐々に和らぎますが、11〜16週以降も症状が続く方もいます。
つわりが終わる時期
多くの場合、妊娠12〜16週(4〜5カ月)で自然に軽快します。
早い場合は10週頃から改善が始まり、16週までには日常生活に支障のない程度にまで落ち着くケースがほとんどです。
症状が和らいでくるサインとして、食欲の回復、朝の不快感の減少、嘔吐回数の減少などが挙げられます。
なお、妊婦さんの2割は「つわりはほとんど気にならなかった」というケースもあるようです。
つわりは個人差が多いので、これも正常な妊娠経過の一つ。
また、これらの初期症状とは別に、妊娠後期に消化器系の不快症状を感じる方もいます。
これは「後期つわり」といって、大きくなった子宮による胃の圧迫や、胃酸の逆流が原因といわれています。
つわりの代表的な症状は?
つわりは症状や現れ方に個人差がありますが、主に以下のタイプに分けられます。
吐きつわり
最も一般的なつわりの症状で、常に胃がむかむかする状態が続きます。
食べても食べなくても吐き気があり、実際に嘔吐してしまうことも多いです。
空腹時に症状が強くなる傾向があります。
食べつわり
空腹になると気持ち悪くなるため、常に何かを食べていないと落ち着かない状態です。
お腹は空いていないのに、食べないと吐き気がするという特徴があります。
体重増加に注意が必要なタイプのつわりです。
においつわり
今まで平気だったにおいに敏感になり、特定のにおいで吐き気を催すようになります。
ご飯の炊けるにおい、肉や魚のにおい、香水やタバコのにおいなどが苦手になることが多いです。
調理中のにおいで気分が悪くなる方も多くいらっしゃいます。
眠りつわり
どれだけ寝ても眠気が取れず、常にだるさを感じる状態。
日中でも強い眠気に襲われ、集中力の低下や頭がぼーっとする症状も伴います。
妊娠による自律神経の乱れが原因と考えられています。
よだれつわり
唾液の分泌量が増え、口の中がネバネバする感じが続きます。
唾液を飲み込むと気持ち悪くなるため、頻繁に吐き出したくなります。
外出時には大きめのタオルやティッシュを持参すると安心です。
これらの症状は単独で現れることもあれば、複数が同時に起こることもあります。
また、朝方に症状が強く出る傾向があり、英語では Morning sickness と呼ばれています。
つわりを軽減するにはどうしたら良い?
つわりの症状を完全になくすことは難しいですが、日常の工夫で和らげることは可能です。
つわりの症状別の対処法をご紹介します。
吐きつわりへの対処
この時期の赤ちゃんの成長は今までの蓄えでまかなえます。
「赤ちゃんのために食べなきゃ」という気持ちを手放し、「食べたくなかったら食べない」のもひとつの方法です。
水分だけはしっかり摂りましょう。
甘いものを食べると余計に吐き気が増します。
口当たりのいいゼリーやヨーグルトを食べて気持ち悪くなることもあります。
むしろ精製していないお塩を使った塩おにぎりが食べられることもあるので試してみてください。
おにぎりは冷えている方が食べやすいです。
食べつわりへの対処
1回の食事量を減らし、回数を増やしましょう。
たんぱく質は胃での消化が早く空腹を感じやすくなります。
炭水化物は腹持ちもいいので炭水化物をしっかり摂りましょう。
小麦よりお米がおすすめです。
繰り返しになりますが、甘いものを食べると余計に気持ち悪くなりやすいです。
空腹を感じたら塩おにぎりがおすすめです。
においつわりへの対処
においつわりに対しては、以下のような対処法を試してみましょう。
- マスクの着用で感じるにおいを軽減させる
- 温かい料理は冷ましてから食べる
- 洗剤や化粧品は香料の少ないものを選び、生ごみは早めに処理する
眠りつわりへの対処
眠りつわりに対しては、次のような方法を試してみましょう。
- 無理をせず、眠れるときはしっかり休む
- 仕事中はストレッチや外気浴でこまめにリフレッシュする
全ての症状への対処
自律神経の乱れでつわり症状が悪化したり長引くことがあります。
自律神経を整えるには鼻呼吸が有効です。
鼻で4秒吸って鼻から6〜8秒かけてゆっくり深く吐く呼吸をしましょう。
10呼吸・1日3セットを目安として、意識して生活に取り入れてみてください。
また、からだが冷えているとつわり症状が長引いたり、悪化することがあります。
シャワーで済ませず熱いお風呂に入ったり、気分のいい時は深い呼吸を意識してストレッチをしたり、足首を冷やさないようにレッグウォーマーを着用したりの温活もおすすめです。
実はつわり症状には鍼灸も効果的です。
セルフケアでも改善が見られないときは鍼灸もおすすめです。
つわりがつらい場合は医療機関へ相談も
セルフケアで症状や体調が改善しない場合は、病院での治療を検討しましょう。
制吐剤や漢方薬の処方、ビタミンB6・B1の点滴などが行われることがあります。
今のつらさも必ず落ち着いてきます。
今はこころとからだのお休み時間だと考えて、からだの赴くままにゆっくり過ごすことを優先しましょう。
医師に相談すると「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」を活用して会社に「つわり休暇」を申請することもできます。
なお、次のような場合は「妊娠悪阻」の可能性も。
重症化すると命に関わることもあるため、早めに受診してください。
- 1日中嘔吐が続く
- 食事・水分がほとんど摂れない
- 急激な体重減少
- 強い頭痛やめまい
- トイレの回数や尿量の極端な減少
つわりがいつからいつまで続くかを知って不安を解消しよう
つわりは妊娠5週頃から始まり、多くの方は妊娠12〜16週頃までに症状が落ち着きます。
8〜10週頃にピークを迎えることが一般的ですが、症状の程度や持続期間には大きな個人差があります。
吐きつわり、食べつわり、においつわりなどさまざまな症状があります。
生活の工夫で症状を和らげることができるので参考にしてください。
症状が重い場合は無理をせず医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切。
つわりは必ず終わりが来るものですので、周りのサポートを受けながら無理をせずに過ごすことでつわりは改善していきます。
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