
出産が近づくにつれて「実際の出産はどのように進むのだろう?」「入院後はどんな流れで赤ちゃんが生まれてくるの?」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、陣痛が始まってから赤ちゃんが生まれるまでの流れについて詳しく解説します。
これから出産を迎える方が、見通しを持って安心して臨めるよう、産婦人科クリニックだからこそお届けできる情報をお伝えします。
出産の流れを解説!陣痛開始から赤ちゃん誕生まで
まずは、出産の始まりから、入院・赤ちゃん誕生までの流れを確認しましょう。
出産開始のサイン
出産の始まりとなるサインとして知っておきたいのが「おしるし」「陣痛」「破水」の3つです。
これらのサインが現れたら、いよいよ出産が始まります。
おしるし
出産が近づくと起こる、軽い出血です。
子宮が収縮して胎盤と子宮がずれて出血があります。
おりものに血が混ざったような形で現れることが多いですが、月経のような出血量になることもあります。
おしるしは必ず起こるものでなく、おしるしがなく出産に進む方もいらっしゃいます。
また、おしるしがあっても2、3日何もないという方もいます。
出血があるとびっくりしてしまうかもしれませんが、異常ではないので安心してくださいね。
ただし、出血量が多い場合や長時間続く場合は胎盤の異常の可能性もあるため医師や助産師に相談してください。
陣痛(子宮の収縮)
赤ちゃんを外に出そうとして子宮が収縮することで起こる痛みです。
初めは生理痛のような軽い痛みから始まり、徐々に強く、痛みを感じる間隔が短くなっていきます。
痛みが規則的に10分間隔、または1時間に6回以上起こるようになったら、「陣痛開始」と判断されます。
破水
赤ちゃんを包んでいる羊膜(卵膜)が破れ、中の羊水が外へ出ることを破水と呼びます。
水風船が破れるようにしてバシャッと一度にたくさん出ることもあれば、少しずつじわじわと出ることもあります。
破水もびっくりしてしまうかもしれませんが出産が始まる合図の一つで異常ではありません。
ナプキンなどを当てて医師や助産師に連絡しましょう。
尿との見分けがつかない場合など、迷ったときは念のため病院に相談してください。
出産が始まったら。過ごし方や入院のタイミング
収縮が強くならないときや間隔が短くならないときは、前駆陣痛の可能性もあります。
前駆陣痛は出産の練習です。
2~5、6時間続いて無くなるという方もいます。
陣痛かなと思っても慌てずしばらく自宅で様子を診ましょう。
心や体が緊張していると出産の波に乗ることができません。
リラックスがとても大事です。
自宅で過ごすときのコツは、次の通りです。
- 時間を計らない
- 痛みに集中しない
陣痛かもしれないと思っても、すぐに時間を計り始める必要はありません。
体感で短くなってきたなと思ったら確認しましょう。
また、陣痛は耐えられない痛みではありません。
痛みに集中せずに、最初は家の掃除をしたり、散歩をしたり、日常を過ごしましょう。
ゆっくりとお風呂に浸かることもおすすめです。
入院の時期は、はじめての出産の方は5分おきで収縮が40秒以上続くとき。
出産のご経験のある方は、10分おきでも毎回子宮の収縮が強くなってきているときです。
ですが、これは一つの目安です。
迷ったときや心配なときは、いつでも医師や助産師に相談してください。
入院後は、陣痛室で分娩監視装置(モニター)を装着して、母体や赤ちゃんの様子を観察します。
分娩室に移動して出産する施設のほか、陣痛の時点でLDRに入室し、移動せず陣痛から分娩を行う施設もあります。
LDRは、陣痛室・分娩室・回復室が一つになった部屋で、分娩の前後に移動しなくて良いというメリットがあります。
分娩室・LDRでは助産師のサポートの元で出産します。
分娩の進み方とは?陣痛・破水・いきみの流れを詳しく解説
分娩(出産)の進み方は大きく3つの段階に分けられます。
それぞれの段階がどのような状態か、そしてどのように進んでいくのかをご紹介します。
分娩第1期:開口期
陣痛が起こり、子宮の収縮により子宮口が徐々に開いていきます。
子宮口は最終的に約10cmまで開いて全開となります。
子宮口が全開になるまでは、初産婦で12時間程度、経産婦で7時間程度が目安とされ、出産にかかる時間の3/4以上を占めます。
陣痛は、初めのうちは10分間隔で20〜30秒程度の痛みが続きますが、徐々に間隔が2〜3分と短くなり、1回の痛みが約60秒くらいになります。
どんなに進んでも60秒以上の収縮はありません。
ずっと痛いと感じるときは心や体が緊張しているときです。
肩の力を抜いて深い呼吸をして自分のからだに集中しましょう。
収縮のとき、緩んでいるときを感じるようにすると気持ちが落ち着いてきます。
気持ちが落ち着くと出産もスムーズに進みます。
肩の力を抜いて深呼吸をしながらゆったり過ごしましょう。
痛みが強くなりいきみたくなったら出産が近い合図です。
よりリラックスするために鼻での呼吸をおすすめします。
鼻で呼吸をすると副交感神経が優位になり、体の力が緩みます。
深く吐く息を意識しながらゆっくり呼吸しましょう。
このときに、テニスボールなどで腰やおしりを強く押す方がいますが、強い力で押すと反発の力が入り、腹圧が入ってしまい脱肛になってしまうこともあります。
また、出産後におしりや体の痛みの原因になります。
深い呼吸と共に体を揺らしたり、さするマッサージがおすすめです。
足湯や腰回りを温めることもおすすめです。
分娩第2期:娩出期
子宮口が完全に開いたら、赤ちゃんのお誕生が近づいています。
1~3分間隔の強い収縮が続くので、その波に合わせて深い呼吸と共にいきみます(息は止めないこと)。
収縮の痛みで体を反らしたり息を止めたりしがちですが、しっかり呼吸をして赤ちゃんに酸素を届けましょう。
赤ちゃんは子宮の収縮により、体を回転させながら産道を通り抜け、最後は子宮の壁を自分の足でキックして生まれてきます。
子宮口全開からお誕生までの時間は、初産婦で1~5時間程度、経産婦で30分~2時間程度が目安です。
分娩第3期:後産期
赤ちゃんが生まれたあと、お役目を終えた胎盤がはがれて出てきます。
胎盤が出てくることを後産(あとざん)ともいいます。
強くいきむ必要はなく、軽い陣痛で出てくることがほとんど。
かかる時間は5分~1時間ほどです。
赤ちゃんと胎盤が出てきたあと、子宮は急速に収縮していきます。
出産後の過ごし方は?
さぁ、いよいよ赤ちゃんとの毎日が始まります♪
出産直後の過ごし方
出産直後は、お母さんと赤ちゃんの状態を観察しながら、約2時間程度そのまま一緒に過ごします。
初めての抱っこやスキンシップなどを行い、その後、お母さんは病室へ、赤ちゃんは状態に応じて新生児室、または病室で一緒に過ごします。
このとき、ぜひ赤ちゃんにおっぱいを吸わせてください。
おっぱいを吸うことで赤ちゃんは体温が上がり、血糖値が上がり、オキシトシンが分泌され生きる力が強くなります。
また、子宮の収縮が良くなり骨盤も整います。
ぜひ「おっぱいを吸わせたいです」と伝えましょう。
入院中の流れ
出産後、施設での1日の流れは以下の通りです。
- 8:00頃:朝食
- 9:00~:診察(必要な方)・検温・赤ちゃんの沐浴、育児指導など
- 12:00頃:昼食
- 13:00~:育児指導など
- 18:00頃:夕食
- 22:00頃:消灯
出産方法・母子の状態、施設によって入院期間は異なりますが、一般的な目安は正常分娩の場合は産後4〜5日、帝王切開の場合は産後6~8日の入院となります。
母子同室について
赤ちゃんと一緒に過ごす時間で赤ちゃんとの生活に慣れていきます。
できるだけ一緒に過ごすことで、自宅に帰ってからの生活がスムーズにスタートできます。
育児指導について
入院中は、授乳やミルク、オムツ替え、沐浴の方法などの育児指導を受けられます。
特に授乳については、授乳時の姿勢や抱き方、頻度などについて詳しいアドバイスを受けられます。
初めての育児で不安なこともあると思いますが、助産師や看護師にぜひ相談してみてください。
また、出産後の体調変化や過ごし方についても指導があり、安心して退院できるようサポートを受けられます。
出産の流れを知って安心して出産に臨みましょう
出産の流れは、おしるし・陣痛・破水といった前兆から始まり、分娩第1期(開口期)、第2期(娩出期)、第3期(後産期)と進んでいきます。
初産婦の場合は全体で12〜24時間程度、経産婦では6〜12時間程度かかるともいわれます。
出産後は施設で約5日間(帝王切開の場合は約8日間)過ごします。
その間に、お母さんは心身を回復させながら赤ちゃんのお世話や自身の体調管理についてサポートを受けて、新しい生活への準備を整えていきます。
出産や育児の不安や心配がある方も多いと思います。
案ずるより産むがやすしという言葉もあります。
あまり頭で考えすぎないこと、日々を楽しく過ごすことをおすすめします。
実際、出産や育児が楽しい、楽しかったという方も多いです。
みなさんの出産が、楽しむことを工夫して、素晴らしい体験として迎えられることを心から祈っています。
「Sola Clinic」は横浜市都筑区にある女性医師による産婦人科クリニックです。
当クリニックは、お母さんが持っている力を引き出す自然なお産(Joyful birth)をサポートしています。
スタッフも全員女性ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
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