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私たちは大丈夫♫

医療法人みらいグループ

先日、助産雑誌のリレーエッセイで、スタッフのさやかちゃんからバトンを受け取ってエッセイを書きました。ついでにブログにアップしますねー♫

私たちは大丈夫

助産師になり32年が経ちました。これまで大学病院・総合病院・個人病院で仕事をしてきて、どうしても納得のいかないことがあり、2011年に助産院を開業しました。

納得のいかないこととは、お産をコントロールすることでした。私たちは恒常性(ホメオスタシス)という素晴らしい力を持っています。この力を最大限に生かしてお産に臨めば問題は起きないのではないかという、私なりの知恵を否定して生きることが不自由だと感じるようになったため開業しました。

責任は全部自分にあると思っていたので、初めは緊張の毎日でしたが、5年間で200人の赤ちゃんのお誕生をむかえました。

そのうち、私は、「人はしあわせになるために生まれてくる」というメッセージを、お誕生する赤ちゃんたちから受け取りました。みんな喜びにあふれて生まれてきているということに気がついたのです。

何のコントロールも受けず、自分の力を最大限に信じて生まれてくる姿は、ほんとうに尊いなぁと豊かな気持ちになります。コントロールしない、自由なお産ができる場所を、関わる医師も助産師ももっと自由に楽しめる場所を創りたいと改めて思い、医師と共にSolaを開院しました。まだまだ道半ばで試行錯誤の日々ですが、それをSolaで楽しんでいます。

お産は、長い時間がかかることもあります。疲弊してくると、充分なからだの準備が足りなかったんじゃないか、このまま見守ってお産が進むのか、と不安になることもあります。そんな時に思い出すのが、新海誠監督の映画、「天気の子」のラストシーンに出てくる「僕たちはきっと大丈夫」というセリフです。

「私たちは大丈夫」それが答えなのだと思うのです。産む人と生まれてくる人の大丈夫を信じること、相手を変えるのではなく、自分を信じることを思い出せるようにサポートをすること、それがお産に関わる私たちの役割だと思います。

気持ちいいお産、楽しい体験としてのお産もたくさんあります。側にいる私たちまでもしあわせに包み込んでくれるパワーのあるお産。だけど、時間がかかったり、つらさに苦しむお産も悪くないとも思うのです。良いお産も悪いお産もなく、全てが必要な体験としてのお産なのです。お産を乗り越えた時、気がつける何かがある、それが必要な体験というギフトなのではないでしょうか。だからこそ、その体験を奪わないように見守れる場所が必要だと思います。

お産は「待つ」こととよく言いますが、それは、体験を奪わないということではないでしょうか。どんなお産も必要な体験で、どれも素晴らしいお産、私はそのことに気がついたことで強く、楽になりました。産む人も生まれてくる人も素晴らしい存在です。

今を生きる私たち、生まれてくる赤ちゃんは、この時、この世界を選んで、しあわせになるために生まれてきたのだと思います。どんなことがあっても私たちは大丈夫。そのことを思い出す、それがお産だと思います。だからこそコントロールしない、自然なお産を自由に体験できる場所をSolaで創りたいと思っています。お産の先に、どんなことがあっても大丈夫という、自由で豊かな人生があるにだと思います。

新型コロナウィルスで世界中が否応なしに変わらざるを得ない今。コロナウィルスは私たちと同じ時代に存在しています。ウィルスは人を困らせようと存在しているのではなく、同じ地球に存在している、それだけだと思います。共存していく、それがこの地球で今を生きる私たちのあり方ではないかと思うのです。恐れや不安にとどまることは簡単です。自分が無力であると諦めて、いずれ有効なワクチンや薬が開発されるまで耐えるだけ。でも、自分は無力だと不安に怯える、そんな毎日はじわじわと自分を追い詰めるのではないでしょうか。

私たちには恒常性という力があります。卵子と精子という細胞から10ヶ月かけて何回もの細胞分裂を繰り返し、60兆個の細胞を持つ私たちが、決して無力な訳がないと思うのです。常に自分のからだを一番良い状態に保とうと、細胞のひとつひとつが味方になってくれます。ウィルスとはこれまでも、これからも共存していくことになります。私たち自身が自分の力を信じて、最大に力を発揮できる状況を生きること、免疫力を上げること、それが共存の世界を生きるコツだと思います。どんな世界であれ、生まれてくる命が途絶えることはありません。生まれてくる時が尊重されること、自由であることが守られるように、不安に怯えるのではなく、私たちは大丈夫という信頼をもってお産の場所にいたいです。

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